HR/HM温故知故
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スティールハートの『WAIT』とウィンガー
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 96年STEELHEARTは4年のブランクを経て、ニューアルバムWAITを発表することになる。

 

 だが、ファーストアルバムからのオリジナルメンバーはヴォーカルのマイケルマティアヴィッチだけとなってしまった。

 時あたかも、グランジオルタナの全盛期、そのメインストリームにあわせるようにグランジのバンドをやるために抜けていったメンバー、違う音楽をやりたいと言って抜けたメンバー、いろいろあるが、とにかくオリジナルメンバーはマイケルだけとなった。

 

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 毎年恒例となったオクラホマ州で開催せれているROCKLAHOMASTEELHEARTは参戦しているし、最近彼らのニューアルバムが発表されたが、未だマイケルだけである。

 哀しむべきことである。

 ファーストアルバムであれだけの良い出来のアルバムをつくったメンバーが雲散霧消してしまったのだから……

 96年、彼らのサードアルバムは発表された。
 
 内容は、ファーストの頃からは似ても似つかない、当時の全盛であったグランジに合わせるような音楽性に変化させた。

 
そのことを、むやみに否定する気には、私はなれない。

 別のページでも指摘したが、レコード会社は慈善事業ではない。レコードが売れなければ会社は存続できない。

レコードが売れるように、アーティストの方にも、音楽性を変化させてもらわなければならない事情は充分あると言うことが察せられるからだ。

 むやみにレコード会社を非難するのは生産的ではない。

 STEELHEARTがサードアルバムにて、変化させた内容については、私見を言わせてもらえれば、そんな凄い、とも思われないし、悪い、とも思われないというのが正直なところである。

 
ファーストアルバムほどリスナーの心を鷲つかみにするような品位があるとも思われないから、そんなに賞賛に値する価値があるとも思えないが……

 しかし、この作品は、ファーストの頃のファンから言わせれば、もうSTEELHEARTではない、といわれてもおかしくはない。

 曲の雰囲気からしてもうファーストの頃の面影はないのであるから…


 1番目”We All Die Young”と次の”Take A Little Time”のイントロを聴いたら、これがSTEELHEARTか?と思わざるを得ない。しかし、短気をおこさないで聴いてみると、そのグランジーなベースとギターのメロディにマイクハイトーンの声が上手く溶け込んでい るのがわかる!

 3曲目以降、メランコリックなアコースティックギターとベースが舞い、いかにもグランジオルタナ!といわんばかりのメロディであるが、聴いていて退屈はしない。なかなかのグルーヴ感がある。中にはマンドリンを導入したりして、彩りを添えているのもいいかも知れない。

 5曲目の”Say No More”や11曲目の”Wait”は確かに暗い!戦争が終わった街の秋のバラックを思い起こさせる暗いイメージ喚起されるのである。

 しかし、癒しのメロディ満載の8曲目”All Your Love”や9曲目“Shangrila”はマイクの伸びやかな声が安らぎを与えてくれる。普通グランジと聞けば、聴き手を陰鬱な気分にさせる暗いイメージがあるのだが、マイクの甲高く突き抜けるような声が、陰鬱さを喚起せないでいるのだ。

 それどころか、全体的にほどよい満足感をリスナーに与えていることは事実である。 
 

●Wait”
  


http://www.youtube.com/watch?v=DvniBg5i2YI


 音楽に限らず、こと芸術と言われるものは、その創作者の心を表すものである。

であるからして、時に華やかで楽しくなるような印象を与えるものでも、時に哀しく切なくなるものでも構わないし、そういったすべての領域でものを制作すべきであると思う。

心から発したものを作品として出すべきであるし、他人の制作したものを歌うべきではないと思う。

哀しい歌であっても、その本人の経験から出たものであるならば、とことん感動できる。

こういうモラルでいるために、私はどんなにブリトニースピアーズBACKSTREET BOYSが売れようが、彼らの音楽に全然感動できないのである。

それが正直なところである。

ある時、BACKSTREET BOYSのベストアルバムが話題になっていて、大手CDショップでも彼らのクリップ集をテレビモニターで流して大々的に宣伝していたので、買って聴いてみることにした。

 しかし、聴けど聴けど全然集中できないし、何の感動もない。

 ライナーを取り出して、よくよく見てみるとなんと!彼らは作詞作曲を全然していないのが発見できたのである。


 他人の書いた曲をただ歌っているだけのアイドルであることが判明し、そのCDを私は即刻売りにいったのである。

 やはり自分の書いたモノでなければハートを出すことは出来ないのだ。

 そして聴き手も感動できないのだ、ということがわかったのである。

 たとえ、暗く哀しいマテリアルであっても、本人の経験したものであるならば、とことん感動できる、そういうものだと私は感じる。

しかし、90年代半ばのグランジ、オルタナという音楽的流行が批判されたのは、それが暗いものばかりであるし、そればかりでは聴き手を陰鬱な気分にさせるからだろう。

 その内容が、本人の心を映し出すものであるならば、それでもいいしあってしかるべし、と本心から思うが、そればかりでは聴き手を陰鬱な気分にさせる…要はそれだけではだめだということである。

 楽しく華やかな気分にさせるものも盛り込まなくては。

 デビュー作収録のバラードの”She’s Gone””I’ll Never Let You Go”で、その能力をいかんなく発揮したマイケルマティアヴィッチだが、今回はその華やかなバラードではなく、哀しい味で勝負してきた。

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 このアルバムのリリース時に、曲のコンセプトを訊こうとしたインタビューアーに、

「初めに、この曲はどのようなコンセプトか、どのような経験から発したものか、どのようなことを聴き手に感じてもらうべきか、を言ってしまってはそれが固定観念になって自由な発想が出来なくなる。だからインタビューではそういったことは言わない。まず聴いて自分なりの解釈をすればいい。」

とマイクが言っていたのを思い出す。

それに私も賛同する。

このような理由で、どのようなコンセプトでこの曲が書かれたかは私にも誰にも知る由はない。

何度も聴いて、解釈をすることをお勧めする。



●”We All Die Young
 ↓



http://www.youtube.com/watch?v=DvniBg5i2YI


 出だしのベースのメロはもちろん、曲全体のメランコリックさが当時の流行の音楽をまさに体現している感じがする。

 STEELHEARTのデビュー時は、人気がすさまじかった。

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デビューアルバム

その出来が素晴らしいがために、一気にゴールドに、そして最終的にはプラチナにまでいったのである。

全米チャートでは、40位にまで上昇した。

「たったそれだけ?もっといってもいいんじゃないの?500万枚くらい売れてもいいんじゃないの!」

とすら思ったものである。

 その時思ったのは、このバンドの中心人物でかつ、ほとんどの作詞作曲を手掛けているマイケルマティアヴィッチの音楽センスのレベルである。

 その才能にとことん惚れ込んだ私は、セカンドアルバムにも相当の期待を込めて買って聴いたものだが、その変貌ぶりにちょっと落胆してしまったものである。

 しかし、その変貌ぶりを裏を返して論ずれば、才能がバラエティに富んでいる、ということである。

 私を含むファーストアルバムでノックダウンされて、このバンドのファンになった人は、そのファーストの音楽性の踏襲をしてほしかったに違いない。

 しかし、セカンドはかなり違ったものになってしまった。

 非常にもったいないが、アルバムごとに作風を変えるのがマイケルのスタンスであるならば、それも仕方がない。

 そして、サードでもまた作風が違う。

 こういう当時の暗く、メランコリックな雰囲気を覆っている音楽にしろとレコード会社から言われたからそうしたのか、マイケルが意図的に変えたのかはわかりかねる。

 しかし、よくよく聴いてみれば、マイケルの明るく打ち負けない強靭な声は相変わらずだし、当時の音楽風とSTEELHEARTの音楽性の融合は成功している。

ファーストアルバムほどではないが、楽曲の質はそれなりに保たれている。

●”Say No More
  ↓



http://www.youtube.com/watch?v=ntGdR0swdpg


 またもメランコリックな出来だ(笑)!

 出だしが重いベースのイントロで始まるし…。

 しかし、この曲もマイケルの甲高い声と強靭な歌いっぷりで曲をリードしていく。

 その力は計り知れない魅力をもっている。

その声が、曲のメランコリックさを和らげているのは間違いない。

メランコリックなだけな音楽では、捨ててしまうのがオチだが、彼の驚異的な声が楽曲の質を落とさないことに貢献している。

 彼の声を聴くと、それだけでSTEELHEARTだと思わせるのだ。

それくらいのアイデンティティを確立しているのだ。

  彼の声にノックダウンされた人は、バンド全体の音楽性が大幅に変わっても、マイケルが歌えばそれだけでいい、とすら思うのではないだろうか?

 そんなことを考えざるを得ないのである。

 
 このように、ハードロックアーティストがグランジオルタナの要素を上手く溶け込ませた傑作として思い起こされるのは、そう、WINGERPULLアルバムである。

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WINGER

 

 WINGERは、自分らの持ち味や特徴を生かしたうえで、グランジオルタナの要素を取り入れたのに対し、
 STEELHEARTのほうは自分らの持ち味を全く度外視して、グランジオルタナのハードロック的な傑作なアルバムを作ったという違いはある。
 

 しかし、共通するのは、WINGERSTEELHEART共にグランジオルタナのハードロック的な傑作なアルバムを作っても、それまでの、自分らの持ち味や特徴を生かしたアルバム-WINGERWINGER』『IN THE HEART OF THE YOUNG 、STEELHEARTSTEELHEART-以上のセールスを挙げることは出来なかったということである。

 短気にならずに、最後まで聴いて見れば、確かにいいアルバムであることは間違いないといったところである。
 

 しかし、私を含め大多数の人が思うのは、STEELHEARTの最高傑作はSTEELHEARTということだろうが、

ではグランジーな良いアルバムはどれですか、ときかれればWAITと答えざるを得ない。

 両者では味が違うのである。どちらが「相対的に」良いかと問われれば答えようがないのである。難しい問題である。

  私がHR/HMについて初めて知ったのは、80年代の半ば、華やかなイメージのポップなハードロックが全盛を極めていた。

 しかし、METALLICAブラックアルバムの出現で、90年代初頭以降へヴィでダークなメタルが跳梁跋扈した。そのため、ハードロック勢は隅に追いやられる羽目になった。

 その、へヴィでダークはメタルに合わせるように、自らの音楽を変化させていったのは、何も今回取り上げたSTEELHEARTだけではないのである。

 DIO、PINK CREAM69 、WINGER、ARCADE、THUNDER…

 
挙げていけばきりがない。

 これらのアーティストに、「このようにへヴィでダークな音楽に変えた理由は?」と訊いても、直截「これがメインストリームだからだ」と答えたのを聞いたことがない。

 やはり、レコード会社からの要請なのか、時代の無言の要請なのかが微妙なところなのではないだろうか?

 
めまぐるしく流行が変わる現代、特にアメリカにおいてはその傾向が著しい。そこで自分のレコードを売っていくためには、やはり変化は免れないといったところだろうか。

 音楽云々を評論する立場としては考えさせられる問題である!



●”Forgive Me
  ↓



http://www.youtube.com/watch?v=Z8tOsfwXRMM


 アルバムは、全体的に暗いイメージが覆っている。

 このアルバムがリリースされたのは、96年

 ちょうどグランジ、オルタナが世間をにぎわせていた時代であり、そんな暗い音楽の流行りを象徴し、その音楽の元祖として崇め奉られたBLACK SABBATHの初代ヴォーカリストであるオジーオズボーンをヘッドライナーとしてのメタルのイベントであるOZZFEST第1回が開催された年である。

1st ozzfest
OZZFEST 96』


 そのフェスに参加していた多くのバンドに共通する特徴を、このアルバムも持っている。

 重低音で生々しいギター音が全体を覆っている。

その取り入れの試みが成功したかどうかは、聴き手の価値観に任せるとしか言いようがない。

 売り上げで言えば決して成功ではないが(全米チャートで200位にもはいらなかった)、そのバンドの楽曲のレベルアップ、魅力アップしたのかどうか、を尺度にすれば、人によって評価は異なってくるだろう。

 セカンドアルバムである前作が、デビューアルバムでは全米チャートで40位に対し、144位と大幅ダウン、それを受けて、大抵のバンドはデビューアルバムのような作りにするのが常だが、マイケルマティアヴィッチはそうはしなかった(笑)


 それどころか、当時の流行の音楽的要素をふんだんに取り入れ、デビューアルバムからは程遠いイメージのアルバムにこのアルバムはしたのである。

 哀しいイメージを喚起する曲が多い、ということはやはりマイケルの当時の心がそのようなモノに覆われていた可能性が高い。

 ファースト、セカンドで一緒に組んでいたバンドメンバーは1人も残ってはいなかった。

 そのことについても、マイケル

どうしたんだろうね。みんな疲れちゃったんだよ!(笑)」

などといって本当の内容に関しては語らずにごまかしていたのを思い出す。

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 アルバムが最初のころのように順調には売れず、コンサートの動員数も少なくなっていった。

 そこへきてバンドのメンバーも離散…
こんな当時の心の苦悩や叫びと、当時の流行の音楽と一致したのだと思う。

 このアルバム発表後、来日公演もまたもなしで終わってしまった。

 それ以降、2008年にアルバムを出すも、日本でもほとんど注目されずじまい。

 2007年から始まった、80年代に活躍するも昨今はそんなに人気が出なくなってしまったバンドを集めたハードロックのイベントであるROCKLAHOMASTEELHEARTも参加している。

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ROCKLAHOMA

それ以外目立った活動は目にしない。

これからマイケルがどのような道に行くのかわからない。

しかし、彼の持つ作詞作曲の能力や超驚異的なヴォイスを活かさずに沈んでいくのはあまりにもったいない。

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そう思うのは決して私だけではないはずである。

1990年の来日公演では、まだアルバイトもしていなかったため、行けなかったのである。

次に来た時は絶対に行く、と決断しても彼らが目立った活動をしてくれないでいるがためにそれが叶わないでいる。

是非ともまた来日公演をおこなってほしいものである。

その時は、絶対に私は行くと誓いたい!


●このアルバムが欲しいかたはコチラ。
  ↓



ウェイト

椎名美弥子


STEELHEARTの魅力を万遍なく堪能できます!💛」

・ファーストからサードまでのクリップ、ライヴ、アコースティックライヴを収めた2枚組のDVDは此れ!
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STEELHEART DVD


<参考関連記事>
⇒誰だ、この脅威の新人バンドは!?=STELHEARTのデビューアルバム『STELHEART』


⇒STEELHEARTのセカンドアルバム『TANBLED IN REINS』


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